鉱物研究室ー そこに露頭した、 まだ、名前のつかないものを採集する場所。 なぜ、私はこうなのだろう? Why am I the way I am?
フィールドノート #008



ずっと昔から続く
寄せては返す波のリズム。
すべての分岐を許すと時間の体積が変わる。
開け放した標本箱。
夏の最後の日に、
昔の自分が好きだった場所が
今の私を待っていた。
——
雨上がりの夕方
その気配を感じて、
空の開けた場所へ向けて
車のハンドルを切る。
東の空に
完璧な形をした、二重の虹。
やはり。
私は、虹が出るのがわかるのだ。
——
「あ、出てるな」と思ってから、
東を探す。
まだ見てないのに、わかっている。
西から射す光の角度、
湿った空気の質感、
雨上がりの匂い——
空を読む、というより
全部が身体に入ってきて、
そっと鳴り出す。
身体が空と同じ周波数になる。
夏の終わり、
何年振りかの海。
ピンクの地球。
久しぶりだけれど、
深い所で繋がる人たち。
そこに
虹が出るのは、
まだ見ていないのに、わかっていた。

