まだ名前のついていないものを採集する。 私は、なぜこうなのだろう? 💎 Why am I the way I am? 原石と響きのフィールドノート。 💎 A field notebook of raw crystals and resonance. 💎 The Mineral Cabin
先月、十数年ぶりにオーケストラの演奏会に
参加した。
メインは、チャイコフスキーの交響曲第5番。
2番フルート。
下手の扉が閉まり、拍手が鳴り止む。
指揮者が台に上がると、
ここから約45分は動くことができない。
以前の私は、
その制限される空間に恐怖感を持っていた。
20代の頃にパニック障害を経験したからだ。
急に不安が襲ってきて、
その場所から逃げだしたくなる感覚。
それから、
様々な療法、ヨガ、ピラティス、ボディワーク、食事の見直し等色々と試してきた。
思えば、その間にも
フルートを吹くことはずっと続けてきた。
発症してすぐの頃、気持ちがざわざわした時は
ひたすら楽器を吹いていた。
息を吹き込み、指を動かしていると、
自分の輪郭を確認できる。
少人数のアンサンブルの本番は
何度もやってきたけれど、
オケのステージは久しぶり。
今ではほぼ問題なく日常生活を送っているけれど、
ごくうっすらと、限定された空間への
不安感がどこかに残っていた。
この「逃げだしたい」と思う感覚は
何だろう?
本番前日、
ネットを見ていたら、前からちょっと気になっていた「反射の統合ワーク」というのが目にとまった。
ワークをやってみると、
バラバラで形も不揃いだった自分の中の
つぶつぶの細胞が、まるく整って身体の中に
静かに満ちていく感じがした。
そうか「統合」か。
私は、「統合」したかったのか。
本番当日。
本ベルが鳴り、指揮者がタクトを振り下ろす。
交響曲が進んでいく中、
「舞台に座って演奏している自分」
「周りの団員」
「客席の観客」
それぞれに流れている「時間」が、
私を通して一致した。
自分の中も、外の世界も、
細胞の粒子が揃って、満ち満ちている感じだ。
最終楽章、指揮者は振り上げていたタクトを
一呼吸おいて静かに降ろす。
私は、全くいつも通りの気持ちで本番を終えた。
あぁ、「普通」ってこういう事か。
翌朝、目が覚めると
今までとちょっと世界が違う感じになった。

