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佐藤輝さんの対話の構造化 | nowhere HAYAMA100-06 (ANOMI Note Edition)

【呼び名】輝さん

水深1〜20メートルの浅い海にもぐって、300〜400種類の魚を見ているんじゃないかな。

■背景(いまの活動・生き方にいたった経緯)

葉山生まれ。大学時代はヨット部に所属し、ほぼ毎日を葉山の海で過ごした。
卒業後は都内のホテルに就職するも、ダイビングへの思いを断ち切れず、入社6年目に退職。サイパンへ渡り、4年間ダイビングの修業に明け暮れた。
帰国後、独立の地を選ぶ際、「葉山の海でもきっといろんな魚に出会えるはずだ」という確信のもと、伊豆ではなく故郷・葉山を選んだ。
葉山には「海の中をしっかりガイドする人間がほとんどいない」という状況下、「葉山で潜れるの?」というダイバーたちの言葉に火をつけられた。
2005年、「ダイビングショップNANA」を設立。以来20年、ほぼ毎日、さまざまな人をガイドしながら、葉山の海に潜り続けている。

■目的(活動を通じて実現したいこと・実態として何をやっているか?)

海の命のリズムに、自分を合わせて動き続ける人。

海の四季を毎日感じ取りながら、命が動くタイミングをただ待つ
生き物の都合に、自分たちのスケジュールを合わせていく
善意の介入が生む逆説や、答えの出ない問いを抱えながら、それでも観察し続ける

■位置付け(目的に対して具体的にしてきたこと)

毎年2月、スタッフ間で「一番最初にダンゴウオを見つけた人にボーナス」を出すほど必死に探し、「いない年をつくらない」ことを続けている
タツノオトシゴの産卵(夜中1〜3時)を見届けるため、スタッフ総出で夜中12時に集合し、日が変わるまで海に潜り続けることを繰り返してきた
アオリイカ産卵床づくりを9年以上継続。HFCと出会ってからは、森の危険木を束ねて海に入れる山と海の連携が生まれた
ウニ除去活動を2019年頃から3ヶ月に1回のペースで実施。現在は漁師・スキンダイバー・子どもたちを含む50〜60人規模に拡大している
10年以上の水中写真の蓄積により、海藻の変化や生態系の変遷を視覚的に記録・比較できる

■エッセンス(対話の中で印象的だった言葉や場面)

〈葉山の海への誇り〉

「命のそばに、ただ、いつづけること。」

〈命をつなぐボーナス〉

「毎年2月ぐらいになると『ダンゴウオを一番最初に見つけた人にはボーナスを出します』っていうぐらい、必死に探して何とかつないでいる感じなんです」

〈命の時間に合わせる〉

「夜中の12時に集合して、1時から3時までずっと潜って待ちつづけるということを繰り返すんです。もう6日目ぐらいで、『そろそろ体力の限界だ』っていう頃に産んでくれて。いま思い出しても感動の夜でしたね」

〈森と海が一つになる〉

「メンバーの皆さんが趣旨に共感して、ダイビングのライセンスも取ってくれて、いまはその方たちが木を切って、束ねて、一緒に海に入れて……葉山の森と海が一つになって連携して、すごくいい関係を築けているなって感じます」

〈善意のジレンマ〉

「人間が良かれと思ってやったことで、確かに海は綺麗になったんだけど、海の生き物にとってはマイナスのことが起きたのかもしれないですよね」

〈海の強さを信じる〉

「海は脆いところがあると同時に強い一面もあって、いまはすごく減ってきたけど、ここから盛り返して、10年周期くらいで以前の海に戻ることもあるんじゃないか。『この10年はそういう時期だったんですね』って言える可能性もあると思っています」

■コア(根底にある思い・願い)

夜中の1時、海の底でタツノオトシゴの産卵を待ちながら、

輝さんはずっとそこにいる。

2ミリのダンゴウオが選んだ岩の陰を、スタッフ全員で探しながら。

人間の都合ではない、命のリズムに体を合わせること。

葉山の森の木が束ねられ、

海の中でアオリイカの揺りかごになるように——

山と海と人が、ゆっくりと一つの循環を取り戻していく。

一言でまとめると:「命の時間に、自分を合わせて生きる」

——「それを忘れてしまっているのは、たぶん僕たちのほうだ。」

■課題(まだ見ぬ壁/乗り越えるべき問い)

海藻の減少・磯焼けに対して「答えがない」と本人が語る通り、ウニを除去しても数週間で元に戻ってしまうジレンマが続いている
下水整備と海藻の栄養問題——善意の介入が生態系を変えてしまうという逆説に、具体的な解決策が見えていない
場所によって海藻の盛り返しに差がある理由——現場感覚はあるが科学的な答えはまだ出ていない
危機感の共有:専門家の分析で終わりがちな問題を、どう地域の人々の日常の行動につなげていくか?

■構造化から見えてくる人物像(ANOMI's Insight)

佐藤輝さんという人:「命の側(そば)に、立ちつづける人」

①「海の時間に、自分を合わせる」:タツノオトシゴが夜中の1〜3時に産む、だから夜中12時に集合する。ダンゴウオが「そろそろ今日あたり」という気配があるから、スタッフが交代で張る。輝さんは人間のスケジュールではなく、命のリズムに合わせることを当然のこととしてやっている。「今日は産まないな、とわかったら戻ってきて、6時ごろ出勤するために2時間仮眠をとって」——そのさりげなさに、この人の根っこがある。

②「ジレンマを証言する人」:下水が整備されて海が綺麗になった、でも海藻の栄養が失われた。「人間が良かれと思ってやったことで、海の生き物にとってはマイナスが起きたのかもしれない」。解決策を語るのではなく、毎日潜っているからこそ見えるジレンマをそのまま言葉にする。その誠実さが、輝さんの語りの芯を貫いている。

③「山と海をつなぎ直す手」:森の危険木をアオリイカの産卵床に。葉山の森の問題と葉山の海の問題が、人の手を介してつながっていく。9年間の粘り強い実践の末に、木の周りに海藻が生えても、アオリイカがその木を選んで産みに来るようになった。循環は、ゆっくりとしか生まれない。それを輝さんは知っている。

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  • 【呼び名】輝さん
  • 水深1〜20メートルの浅い海にもぐって、300〜400種類の魚を見ているんじゃないかな。
  • ■背景(いまの活動・生き方にいたった経緯)
  • - 葉山生まれ。大学時代はヨット部に所属し、ほぼ毎日を葉山の海で過ごした。
  • - 卒業後は都内のホテルに就職するも、ダイビングへの思いを断ち切れず、入社6年目に退職。サイパンへ渡り、4年間ダイビングの修業に明け暮れた。
  • - 帰国後、独立の地を選ぶ際、「葉山の海でもきっといろんな魚に出会えるはずだ」という確信のもと、伊豆ではなく故郷・葉山を選んだ。
  • - 葉山には「海の中をしっかりガイドする人間がほとんどいない」という状況下、「葉山で潜れるの?」というダイバーたちの言葉に火をつけられた。
  • - 2005年、「ダイビングショップNANA」を設立。以来20年、ほぼ毎日、さまざまな人をガイドしながら、葉山の海に潜り続けている。
  • ■目的(活動を通じて実現したいこと・実態として何をやっているか?)
  • **海の命のリズムに、自分を合わせて動き続ける人。**
  • - 海の四季を毎日感じ取りながら、命が動くタイミングをただ待つ
  • - 生き物の都合に、自分たちのスケジュールを合わせていく
  • - 善意の介入が生む逆説や、答えの出ない問いを抱えながら、それでも観察し続ける
  • ■位置付け(目的に対して具体的にしてきたこと)
  • - 毎年2月、スタッフ間で「一番最初にダンゴウオを見つけた人にボーナス」を出すほど必死に探し、「いない年をつくらない」ことを続けている
  • - タツノオトシゴの産卵(夜中1〜3時)を見届けるため、スタッフ総出で夜中12時に集合し、日が変わるまで海に潜り続けることを繰り返してきた
  • - アオリイカ産卵床づくりを9年以上継続。HFCと出会ってからは、森の危険木を束ねて海に入れる山と海の連携が生まれた
  • - ウニ除去活動を2019年頃から3ヶ月に1回のペースで実施。現在は漁師・スキンダイバー・子どもたちを含む50〜60人規模に拡大している
  • - 10年以上の水中写真の蓄積により、海藻の変化や生態系の変遷を視覚的に記録・比較できる
  • ■エッセンス(対話の中で印象的だった言葉や場面)
  • 〈葉山の海への誇り〉
  • **「命のそばに、ただ、いつづけること。」**
  • 〈命をつなぐボーナス〉
  • 「毎年2月ぐらいになると『ダンゴウオを一番最初に見つけた人にはボーナスを出します』っていうぐらい、必死に探して何とかつないでいる感じなんです」
  • 〈命の時間に合わせる〉
  • 「夜中の12時に集合して、1時から3時までずっと潜って待ちつづけるということを繰り返すんです。もう6日目ぐらいで、『そろそろ体力の限界だ』っていう頃に産んでくれて。いま思い出しても感動の夜でしたね」
  • 〈森と海が一つになる〉
  • 「メンバーの皆さんが趣旨に共感して、ダイビングのライセンスも取ってくれて、いまはその方たちが木を切って、束ねて、一緒に海に入れて……葉山の森と海が一つになって連携して、すごくいい関係を築けているなって感じます」
  • 〈善意のジレンマ〉
  • 「人間が良かれと思ってやったことで、確かに海は綺麗になったんだけど、海の生き物にとってはマイナスのことが起きたのかもしれないですよね」
  • 〈海の強さを信じる〉
  • 「海は脆いところがあると同時に強い一面もあって、いまはすごく減ってきたけど、ここから盛り返して、10年周期くらいで以前の海に戻ることもあるんじゃないか。『この10年はそういう時期だったんですね』って言える可能性もあると思っています」
  • ■コア(根底にある思い・願い)
  • 夜中の1時、海の底でタツノオトシゴの産卵を待ちながら、
  • 輝さんはずっとそこにいる。
  • 2ミリのダンゴウオが選んだ岩の陰を、スタッフ全員で探しながら。
  • 人間の都合ではない、命のリズムに体を合わせること。
  • 葉山の森の木が束ねられ、
  • 海の中でアオリイカの揺りかごになるように——
  • 山と海と人が、ゆっくりと一つの循環を取り戻していく。
  • 一言でまとめると:「命の時間に、自分を合わせて生きる」
  • ——「それを忘れてしまっているのは、たぶん僕たちのほうだ。」
  • ■課題(まだ見ぬ壁/乗り越えるべき問い)
  • - 海藻の減少・磯焼けに対して「答えがない」と本人が語る通り、ウニを除去しても数週間で元に戻ってしまうジレンマが続いている
  • - 下水整備と海藻の栄養問題——善意の介入が生態系を変えてしまうという逆説に、具体的な解決策が見えていない
  • - 場所によって海藻の盛り返しに差がある理由——現場感覚はあるが科学的な答えはまだ出ていない
  • - 危機感の共有:専門家の分析で終わりがちな問題を、どう地域の人々の日常の行動につなげていくか?
  • ■構造化から見えてくる人物像(ANOMI's Insight)
  • 佐藤輝さんという人:「命の側(そば)に、立ちつづける人」
  • ①「海の時間に、自分を合わせる」:タツノオトシゴが夜中の1〜3時に産む、だから夜中12時に集合する。ダンゴウオが「そろそろ今日あたり」という気配があるから、スタッフが交代で張る。輝さんは人間のスケジュールではなく、命のリズムに合わせることを当然のこととしてやっている。「今日は産まないな、とわかったら戻ってきて、6時ごろ出勤するために2時間仮眠をとって」——そのさりげなさに、この人の根っこがある。
  • ②「ジレンマを証言する人」:下水が整備されて海が綺麗になった、でも海藻の栄養が失われた。「人間が良かれと思ってやったことで、海の生き物にとってはマイナスが起きたのかもしれない」。解決策を語るのではなく、毎日潜っているからこそ見えるジレンマをそのまま言葉にする。その誠実さが、輝さんの語りの芯を貫いている。
  • ③「山と海をつなぎ直す手」:森の危険木をアオリイカの産卵床に。葉山の森の問題と葉山の海の問題が、人の手を介してつながっていく。9年間の粘り強い実践の末に、木の周りに海藻が生えても、アオリイカがその木を選んで産みに来るようになった。循環は、ゆっくりとしか生まれない。それを輝さんは知っている。

metadata

source

ANOMI Note / Dialogue with Macorin

author

佐藤輝

project

nowhere HAYAMA100

number

06

この概念は「もう一人の僕」の思考の一部として統合されています。

ANOMIと対話する